「解散」占う「日露会談」「野党共闘」の行方
臨時国会の会期が12月14日まで延長され、会期末に向けて与野党の駆け引きが激しさを増している。終盤国会の審議の焦点は、年金改革関連法案とカジノを含む統合型リゾート(IR)推進法案だが、これらをめぐる与野党の攻防には衆院解散・総選挙をめぐる各党の思惑が密接に絡んでいる。
「年金法案強行採決」のダメージ
「この法案は物価がいくら上がっても賃金が下がれば年金も下がるという非常にえげつない制度になっている」
共産党の小池晃書記局長は10月31日の記者会見で年金改革関連法案について、こんなふうに吐き捨てた。
この法案には、将来世代の年金給付を底上げし、年金制度を安定化させるという趣旨があり、小池氏の言うように単に年金額を下げるというものではない。しかし、野党はこの法案に「年金カット法案」というレッテルを貼り付けた。
その呼び名は必ずしも妥当だとは言えないが、法案を批判するための仕掛けとしてはうまいネーミングである。年金制度は複雑で、専門家でないかぎり、細かい部分で誰が得をして、誰が損をするかはわかりにくい。そうした細部を一切考慮せず一刀両断にした「年金カット法案」という名前を聞けば、単純に国民は年金受給額が減る法案なのだと考える。実際、全国紙の世論調査では軒並み、法案に「反対」という回答が「賛成」を上回った。野党はレッテル貼りに成功したのだ。
野党はさらに国会審議の混乱を狙った。萩生田光一官房副長官らの失言が野党を勢いづかせたこともあって、本来、粛々と法案採決を済ませたかった与党は衆院での法案採決にあたって、野党の反対を押し切って強行突破を図らざるを得なかった。
11月25日の衆院厚生労働委員会では、怒号が飛び交う中、野党の遅延戦術にたまりかねた与党が採決に踏み切った。さらに、11月29日の衆院本会議では、民進、自由、社民の野党3党欠席という不正常な形で、法案を可決せざるを得なかった。
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