連載小説 Δ(デルタ)(3)

執筆者:杉山隆男 2017年5月4日
エリア: アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (c)時事

 

【前回までのあらすじ】

尖閣諸島海域を遊弋中の巡視船「うおつり」に、体当たりしてきた2隻の漁船から漁民風の男たちが乗り移る。爆破。銃撃。後部甲板は攻撃にさらされていた。普段は船内の調理担当の2等保安士・市川準一に、特警隊員として準備の命令が下った。

 

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「うおつり」の上空200メートルで旋回していた海上自衛隊那覇基地所属の哨戒機P3Cの機内でも、爆破のすさまじい衝撃は伝わった。爆風なのか衝撃波なのか、機体が煽られたようにグラッと揺れたのだ。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
杉山隆男(すぎやまたかお) 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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