Δ(デルタ)

連載小説 Δ(デルタ)(14)

執筆者:杉山隆男 2017年7月22日
エリア: アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

「愛国義勇軍」が制圧した巡視船「うおつり」内で、特警隊員の市川に取り押さえられた義勇軍最年少兵士の張和平。思い出したのは、親も同然の「戦闘英雄」劉成虎に憧れて軍人を目指し、学校に合格したこと。そして、故郷瀋陽で、あるパーティーに誘われたことだった。

 

     13

 ターコイズのように青く透き通った瞳の男が、ワインボトルを右手に微笑みながら張(ヂャン)のもとにやってきた。空軍のダークブルーの軍服を着ていなければ、瞳の色と言い、鼻梁の高く通った濃い顔立ちと言い、スラヴの血が混じった中央アジアあたりのカザフ人かトルコ人と勘違いしただろう。

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執筆者プロフィール
杉山隆男 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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