【前回までのあらずじ】
中国人集団「愛国義勇軍」が自ら全世界に発信した、巡視船「うおつり」の乗っ取り。日本はもちろんアメリカのニュース番組でも大々的に報じられたのだが、奇妙なことがあった。アメリカは「センカク」にも、日米安保条約への言及にも消極的なのだ。一方、中国ではこの事件は徹底して黙殺された。インターネットでの情報拡散を遮断し、全土はネット鎖国と化した。
16
会見を切り上げるように終えた官房長官の井手は壇を下りると、たちまち記者たちに囲まれた。だが、井手は群がる記者からの質問にまったくとりあおうとせず、屈強なSPが確保する進路を出口に向かって無言で進んだ。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン