Δ(デルタ)

連載小説 Δ(デルタ)(19)

執筆者:杉山隆男 2017年8月26日
エリア: アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

巡視船「うおつり」乗っ取り事件に関する記者会見を終えた井手官房長官の執務室を、内閣危機管理監の門馬と、警察庁の後輩でもある内閣情報官の滝沢が訪れる。アメリカはセンカクを守らない――井手はそのことに気づいていた。ひとしきり話した後、門馬は滝沢をお茶に誘った。

 

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 危機管理監室の壁面には3基のディスプレイがはめこまれ、右端の画面には同じフロアにあるオペレーションルームでコンソールに向かったり、ファイルを手に室内を慌ただしく行き来しているスタッフの様子が映し出されている。チャンネルを切り替えれば、3基のディスプレイには、海自のP3Cがセンカク海域上空からデータリンクのシステムを介してリアルオンタイムで送ってくる「うおつり」の映像など、オペレーションルームのさらにワイドなディスプレイに映し出される映像がそのままモニターされる。つまりソファにもたれてダージリンをゆっくり味わっていても、状況の急変に後れをとる恐れはないわけだ。

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執筆者プロフィール
杉山隆男 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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