マネーの魔術史
(13)
ヨーロッパでは中央銀行が広がるが、アメリカでは挫折
これまで述べてきたように、1694年に設立されたイングランド銀行は、戦費調達を目的とした「政府の銀行」であった。ただし、19世紀初頭までは、特権を認可された複数の銀行が独自に銀行券を発行しており、イングランド銀行はそうした銀行の1つであるにすぎなかった。
しかし、19世紀に金融恐慌が発生し、多くの銀行の銀行券が無効になる事態が発生した。このため、通貨発行権をイングランド銀行に独占させる「ピール銀行条例」が1844年に制定され、イングランド銀行以外の銀行による発券が禁止された。こうして、イングランド銀行が中央銀行としての地位を固めた。
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