連載小説 Δ(デルタ)(26)

執筆者:杉山隆男 2017年10月14日
エリア: アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

ようやくのことで那覇空港をスクランブル発進した、航空自衛隊の2機のF15。彼らが「センカク」近くで発見したのは、2機の戦闘機だった。中国空軍のスホーイ27。編隊長は万国共通の緊急無線を使い、中国語で何度も退去を呼びかけたが、一切黙殺された。

 

 

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 応答なしのスホーイからの答えは、しかしほどなくして返ってきた。突如排気口から炎を噴き出し、スロットル全開で追尾を振り切るように急降下をはじめたのだ。2機をはさむ形で併走するように飛んでいたKNIGHTとJOYのF15も、遅れじと機首を大きく下げて急降下に入る。

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執筆者プロフィール
杉山隆男(すぎやまたかお) 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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