Δ(デルタ)

連載小説 Δ(デルタ)(29)

執筆者:杉山隆男 2017年11月3日
エリア: 北米 アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回のあらすじ】

中国旅客機の「事故」による那覇空港の閉鎖は、交通マヒを引き起こしただけでなく「デルタ」の作戦遂行にも大きな影響を及ぼした。使いたい輸送機が使えず、民間機の退避で沖縄の米軍飛行場も使えない。結局センカクへは、海上自衛隊のヘリ空母「かが」を使用するという作戦に変更された。

 

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 腹に響く野太いローター音と絶え間ない振動に全身を揺さぶられること1時間あまり、デルタチームを乗せた大型ヘリのチヌークが西南に針路をとった「かが」に追いついたのは、海面を照らす日射しからさっきまでの勢いがなくなり、そろそろたそがれがはじまろうとしている時刻だった。

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執筆者プロフィール
杉山隆男 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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