
国立銀行が発行した、日本初の紙幣 (C)時事
前回見たように、明治の通貨制度も、財政状況も、確固としたものではなかった。
大量の金が国外へ流出していたため、名目的には金本位を採用したものの、実際には銀本位であった。また、政府紙幣の信用は著しく低下していた。
そして戊辰戦争(1868~1869年)や西南戦争(1877年)の出費を賄うために、太政官札や国立銀行の不換紙幣が大量に発行され、それがインフレを引き起こした。これらの戦争の出費は、インフレという形の税によって、国民に押し付けられたのである。

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