Δ(デルタ)

連載小説 Δ(デルタ)(37)

執筆者:杉山隆男 2017年12月30日
エリア: アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

作戦決行のため、護衛艦「かが」に乗艦してセンカクへと向かう秘密部隊デルタ。そのメンバーは、いずれも卓越したスキルの持つ士官たちだった。だがそれだけが選定の理由ではない。それぞれの持つ個人的な背景も、充分に考慮されていた。

 

    29(承前)

「どうした?」

 PCを閉じながら磯部が聞くと、藤平はすぐには答えず、戦場に向けて出発するまでの待機時間をメンバーが過ごしている広い室内をぐるりと見回した。27人の隊員は例外なくひとり掛けソファのリクライニングを限界いっぱいに倒して、眼を閉じ、両耳にしたイヤホンから流れてくる音楽に聴き入っていた。

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執筆者プロフィール
杉山隆男 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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