Bookworm (3)

お正月こそ「本の虫」! 第1弾

2018年1月3日
エリア: アジア

キャッチボールがしたくなる
野球の魂を教えてくれる1冊 
評者:豊﨑由美(書評家)

 アメリカにはフィリップ・ロスの『素晴らしいアメリカ野球』がある。日本には高橋源一郎の『優雅で感傷的な日本野球』がある。そして韓国には、その2作よりも素晴らしくて優雅で感傷的な、パク・ミンギュの『三美(サンミ)スーパースターズ 最後のファンクラブ』がある!

『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』 パク・ミンギュ 斎藤真理子訳  晶文社/2160円

 物語のスタートラインは、韓国にプロ野球が誕生した1982年。12歳の〈僕〉と親友ソンフンは、地元・仁川(イン チョン)のチーム「三美スーパースターズ」のファンクラブに入会し、開幕を心待ちにしている。ところが蓋をあけてみたら、愛するチームはとんでもなく弱かったのだ。たった3年6カ月で身売りされ、ホームの仁川を去ることになる三美が打ち立てた負の記録が、3ページ半にわたって記載されているのだけれど、たしかにひどい。野球好きが見たら笑っちゃうくらい、ひどいのである。

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