テロリストの誕生(番外編)(下)「手記」発表への賛否

執筆者:国末憲人 2018年1月8日
エリア: ヨーロッパ 中東
手記には賛否両論が(襲撃された当時の『シャルリー・エブド』本社前)(C)AFP=時事

 

 年が明けて2015年1月7日、3日間の夜勤実習明けで夕方起き出したファリッド・ベニエトゥーは、フェイスブックを通じて、その日の朝に「シャルリー・エブド襲撃事件」が起きたことを知った。テレビをつけると、シェリフ・クアシの顔が映し出されていた。その驚き以上に非現実的だと思えたのは、あの内気だった兄サイード・クアシも犯行に加わっていたことだった。

手は血塗られた

 確かに自分は2004年、兄弟にジハードの理想郷を教え込んだ。ただ、10年後にそれがどんな結果を招くかは想像しなかった。自分自身は武器を手にすることなく、結果的に人を殺した。ジハード主義の理念を伝えることで、手は血塗られた。責任を感じた彼は当局に出頭し、捜査に協力した。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員を経て、現在はGLOBE編集長、青山学院大学仏文科非常勤講師。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など。
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