マネーの魔術史
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「ドイツが必要とするものは、紙幣を印刷して賄う」
ニール・アーウィン『マネーの支配者』(早川書房)によると、第1次世界大戦直前の1914年6月、ドイツの中央銀行、ライヒス・バンクの総裁ルドルフ・フォン・ハーフェンシュタインは、ドイツの大手銀行の経営者を招集して、「今後3年間で流動性を2倍にする必要がある。銀行は通貨を銀行内に止めずに、必ず流通させるように」と言った。この目的は戦費調達の手段を確保することであった。
ハーフェンシュタインは次のように考えていた。「イギリスは、ドイツの経済発展と軍事力に嫉妬し、悪意を抱いている。それが世界大戦の根本原因である」
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