Δ(デルタ)

連載小説 Δ(デルタ)(41)

執筆者:杉山隆男 2018年1月27日
エリア: アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

愛国義勇軍に乗っ取られた巡視船「うおつり」船内で、唯一自由の身の市川は、中国人兵士の張(ルールー)とともに、脱出用ボートを手榴弾で破壊することに成功する。ところがそのさなかにルールーが足首をくじいた。市川が肩をさしだした瞬間、強烈な光を浴びせかけられた。

 

     31(承前)

「銃を甲板に置いて、両手を挙げろ!」

 スピーカーから鋭い中国語が飛ぶ。命令を発した男はブリッジで監視カメラの映像を見ているのかもしれない。サーチライトを操作するレバーも放水銃などと同じコンソールにならんでいる。

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執筆者プロフィール
杉山隆男 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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