サイバーウォー・クレムリン
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「カスペルスキー」と「KGB」の闇(承前)
引き続きエフゲニー・カスペルスキーの足跡をたどってみることにしたい。
1987年にKGB(国家保安委員会)大学校第4学部を卒業したカスペルスキー青年は、ソ連国防省に入省した。ただ、ここでのキャリアにもはっきりしない部分が多い。
国防省の研究機関で研究職に就いたことはたしかなようだが、カスペルスキーは、それ以外の詳細は機密に触れるとして明かしていないためである。カスペルスキーの「公式伝記」と言える『カスペルスキーの信念:インターネットのボディガード』(ESKMO、2011年。邦訳なし)では、「物体が軌道上から地上に落ちていくコースの計算」が最初の任務だったとしているが、これが本当なのかどうかも分からない(弾道ミサイルの軌道計算であればさほど秘密めかすこともないだろう)。
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