連載小説 Δ(デルタ)(45)

執筆者:杉山隆男 2018年2月24日
エリア: アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

乗っ取られた巡視船「うおつり」では市川が孤軍奮闘を続け、東京・永田町の首相官邸では、緒方総理を中心に様々な動きが繰り広げられている。そんな中、センカクへと向かうデルタ29名の精鋭は、いよいよ護衛艦「かが」を出発しようとしていた。

 

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 鉄扉を開けてヘリ空母「かが」の飛行甲板に出た磯部は、自分がオペラの舞台上に躍り出たかのような錯覚にとらわれた。サーチライトに明るく照らし出された甲板の左舷側にUH60が4機縦列でならび、すでにエンジンを始動させて発艦準備を整えつつある。

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執筆者プロフィール
杉山隆男(すぎやまたかお) 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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