マネーの魔術史 (45)

巨大な無秩序だったスターリンの「5カ年計画」

執筆者:野口悠紀雄 2018年4月5日
エリア: ヨーロッパ
(C)AFP=時事

 

 ヨシフ・スターリンは、1928年に第1次5カ年計画を開始した。これは、重工業重視の産業化政策だ。消費財生産を犠牲にして、生産財中心の生産が行われた。

 計画目標は、全工業生産高について250%増、重工業は330%増という、途方もないものであった。この計画によって、1932年までにソ連を先進資本主義諸国と並ぶ工業国にすることが目標とされた。

 これは、国家計画委員会(ゴスプラン)を中心とした計画経済だ。すべての企業が再び国有化され、企業の活動は、中央からの詳細な指令によって行われることとなった。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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