ジョン・マケインの「荒野の決闘」

執筆者:名越健郎 2008年8月号
エリア: 北米

 米共和党の大統領候補者、ジョン・マケイン上院議員(71)は“Maverick John”(一匹狼のジョン)と呼ばれる型破りな人物だ。 海軍士官学校に入ったものの、成績は悪く、ボクシングに熱中し、短気で乱暴な性格。平均以下のパイロットで、何度か墜落事故を起こした。 ベトナム戦争中の1967年、ハノイ空爆中に撃墜され、腕や足を骨折して捕虜に。拷問も受け、計5年半北ベトナムで捕虜生活を送った。内政では穏健派ながら、外交・国防はタカ派で、「イラクへの米軍恒久展開」を主張したこともある。 25年間連邦議員生活を送り、大統領候補としては最高齢。フレッシュなバラク・オバマ民主党候補(46)に比べて鮮度が落ちる。インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙(2月6日付)は大統領選をジャンケンにたとえ、「オバマはパー、マケインはグー、ヒラリーはチョキ」と書いていたが、現状ではオバマ候補に包み込まれる恐れがある。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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