――“中東ブックレット”待望の第2弾がようやく刊行です。当初は年2、3冊ペースでとのことでしたが、『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』から丸2年です。どうなさっていたのでしょう?
大変お待たせしました。“中東ブックレット”シリーズを構想した時には、もっと気軽に頻繁に出すつもりだったのですが……。時間がかかった理由は、1つ挙げれば1冊目に力を入れすぎたことですね。『サイクス=ピコ』は、ブックレットと銘打っていても、結局、単行本を1冊書くのと同じ労力を割いて、けっこう大掛かりな本になっています。しかも最新の中東情勢を盛り込んだので、短時間に尋常ではない集中の仕方をして、本を出しました。編集も校正も印刷も、特別体制を組んでもらったので出ましたが、普通ならあの質と量をあの短期間では書けません。まあそのおかげで、『サイクス=ピコ』は、ベストセラー狙いの奇をてらったものではないにもかかわらず、かなり売れたんですよね。やっぱり潜在的な読者がいるんだな、と感じて心強く思うのと同時に、質を落とせないというプレッシャーもかかり、結局2年間、第2弾『シーア派とスンニ派』の準備に費やしました。ですが、このテーマは、シリーズを考案した時から、続刊リストの筆頭にありました。中東について、世の中の人が知りたいと思っているテーマに、専門的な見地から根拠のある答えを、コンパクトに与える、というシリーズの狙いにぴったりです。

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