「一党独裁」フン・セン首相に潰された『カンボジア・デイリー』は復活したか

ウェブ版として復活した『カンボジア・デイリー』だが(サイトHPより)

 

 ドイツの国営ラジオ局は、その日の主な出来事を取り上げた3分間のニュースフラッシュを1時間ごとに流す。2017年9月5日のニュースフラッシュは、間もなく行われるアメリカの地方選挙、英国のEU(欧州連合)離脱、そしてカンボジアが掲げる民主主義の看板に大きく亀裂が入ったことを、声高に告げていた。『カンボジア・デイリー』が前日の4日、最大野党「カンボジア救国党」(CNRP)党首ケム・ソカーの逮捕と、同紙の終焉を、同時に報じていたのだ。同紙は、政府によって強制的に廃刊へと追い込まれていた(2017年10月18日「カンボジアを『育て』フン・センに『命を絶たれた』ジャーナリスト『バーナード・クリッシャー』の軌跡」参照)。

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執筆者プロフィール
インゴ・ギュンター(いんごぎゅんたー) メディア・アーティスト。1957年生れのドイツ人。ゲーテ大学で、民族学と文化人類学を専攻するとともに、デュッセルドルフのアート・アカデミーでヨーゼフ・ボイスに師事。その後、ナム・ジュン・パイクのアシスタントをしながら、ビデオアートを学ぶ。地球儀をキャンパスに世界情勢を描く手法で知られ、その作品は1994年から99年までの6年間、フォーサイトの表紙を飾った。フォーサイトのフェイスブックの表紙も最近の地球儀アートの1つ。2006年から07年に東京芸術大学客員教授を務めた。
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