クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

ベタンクール救出とあの夏の沸き立つ自由

執筆者:徳岡孝夫 2008年9月号
エリア: ヨーロッパ 中南米

 今年の七月十四日、フランスの革命記念日(日本でいうパリ祭)に、元人質イングリッド・ベタンクールは、エリゼ宮でサルコジ大統領からレジオン・ドヌール勲章を授けられた。それより少し前の新聞には、前大統領ジャック・シラクが彼女の手をとって接吻する写真が出た。コロンビア革命軍(FARC)に誘拐され、密林の村に監禁されて六年の彼女が、解放されて得た自由と栄誉だった。 ベタンクール(四六)はフランスとコロンビアの二重国籍を持っている。父はパリ駐在のコロンビア外交官。彼女は教育をすべてフランス語で受けた。母がミス・コロンビアだったので、娘である彼女には中年に達してなお美貌の名残りがある。

カテゴリ:
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top