習近平「軍民融合」戦略で見える「ファーウェイ」の先行き(下)

軍民融合の大号令を発した後の2015年、ロンドンでの習近平国家主席(右)とファーウェイの任正非CEO(左)(C)AFP=時事

 

 中国の通信機器最大手「華為技術」(以下、ファーウェイ)は「5G(第5世代移動通信システム)で、その技術とコストで世界トップクラスにあるとされる。真偽はわからないが、2018年10月には、人工知能(AI)など向けの高性能半導体チップの量産を始めるとし、計算能力は米半導体大手「エヌビディア」を上回り世界一になると強調している。

 しかし、ファーウェイを含め中国企業は、半導体やソフトウェア・特許(米「グーグル」の基本ソフトや米「クアルコム」の無線技術など)、半導体製造装置を米企業などに依存している。ファーウェイは半導体だけでも「クアルコム」から年18億ドル、米「インテル」から7億ドルも輸入している。このため、米企業なしではファーウェイなど中国企業の経営は難しいとの見通しも巷では多いようだ。

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執筆者プロフィール
野口東秀(のぐちとうしゅう) 中国問題を研究する一般社団法人「新外交フォーラム」代表理事。初の外国人留学生の卒業者として中国人民大学国際政治学部卒業。天安門事件で産経新聞臨時支局の助手兼通訳を務めた後、同社に入社。盛岡支局、社会部を経て外信部。その間、ワシントン出向。北京で総局復活後、中国総局特派員(2004~2010年)として北京に勤務。外信部デスクを経て2012年9月退社。2014年7月「新外交フォーラム」設立し、現職。専門は現代中国。安全保障分野での法案作成にも関与し、「国家安全保障土地規制法案」「集団的自衛権見解」「領域警備法案」「国家安全保障基本法案」「集団安全保障見解」「海上保安庁法改正案」を主導して作成。拓殖大学客員教授、国家基本問題研究所客員研究員なども務める。著書に『中国 真の権力エリート 軍、諜報、治安機関』(新潮社)など。
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