独選「大人の必読マンガ」案内 (12)

愛と自由とフロンティア:幸村誠『プラネテス』

執筆者: 2019年4月23日

 史上初のブラックホールの撮影成功やJAXA(宇宙航空研究開発機構)の無人探査機「はやぶさ2」の活躍など、宇宙を巡って夢のあるエキサイティングな話題が相次いでいる。一方、中国が月の裏側へ探査機を送りこみ、ドナルド・トランプ米大統領が宇宙軍創設や月面への有人探査を表明するといった、大国間の宇宙を巡る覇権争いにも拍車がかかりそうな気配だ。

「未開の領域へ」という情熱と苦悩

 宇宙というフロンティアと人類のかかわりを正面から描いた傑作が、幸村誠の『プラネテス』(講談社)だ。コミック自体が2002年度、アニメ化作品が2005年度の星雲賞(優秀なSF作品や活動に贈られる)を受賞している。原作とアニメのダブル受賞は宮崎駿の『風の谷のナウシカ』以来という快挙だ。

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