医療崩壊 (26)

「相馬野馬追」から見える「福島第1原発事故」からの復興

執筆者:上昌広 2019年8月7日
タグ: 日本 原発
エリア: アジア
国の重要無形民俗文化財に指定されている、勇壮な「相馬野馬追」(C)時事

 

 7月28日、福島県相馬地方で開催された相馬野馬追の本祭を見学した。東日本大震災以降、毎年見学しており、今回で9回目だ。騎馬武者約400騎が騎馬行列、甲冑競馬、神旗争奪戦を繰り広げた。

 相馬野馬追の歴史は古い。始まりは鎌倉幕府開府前の軍事訓練で、現在の公的行事としての形が整ったのは江戸時代前期という。なぜ、いまだに相馬の人々は騎馬武者行列を続けるのだろうか。

 本当のところは分からない。ただ、この神事が相馬人の苦難の歴史を象徴しており、現在進行形の試練を乗り切る上で、余所者には分からない重大な役割を果たしているのは間違いなさそうだ。

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執筆者プロフィール
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
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