南部に着目して読むアメリカ政治地図の変動

執筆者:会田弘継 2009年1月号
エリア: 北米

長い目で見るとき、アメリカの政治地図は、ダイナミックな塗り替えが進んでいる。その地殻変動の核心とは――。 今回のアメリカ大統領選では、いったい何が起きたのか――。一月半を経たいま、あらためて考えてみよう。 アメリカ合衆国史上初めて黒人大統領が生まれたという歴史的な出来事の大きな背景には、何をおいてもサブプライム住宅ローン問題に端を発する未曾有の経済危機があった。その原因となった政治を変えたいと願う米国民の強い「変革」への意志があったことに、疑う余地はない。 不況の中で「変革」への風が吹いた――という、きわめて一般的な現象が起きたのである。つまり、オバマ次期政権がこの未曾有の経済危機に効果的な手をうてなければ、「変革」の風は逆方向に吹き出すこともありうる。それが、いまアメリカが置かれている状況だ。

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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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