感染急増の中南米で深まる「分断」「格差」

執筆者:遅野井茂雄 2020年3月18日
タグ: 新型コロナ
エリア: 中南米
ベネズエラの首都カラカスの商店にて(C)EPA=時事

 

 中南米は、握手はもとよりハグや頬キスなどで頻繁に友情や親愛の情を確認し合うことを日常とする文化圏である。親しい者同士が、「抱擁(abrazo)」という単語をメールの結びに使う文化だ。そうした地域で、感染を防ぐために社会的距離をとるのが最も効果的と言われるのは、辛いものがある。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、彼らから日常を奪い、儀礼や社交のあり様にも影響を及ぼすことになる。

 各国はウイルスの侵入に身構えている。経済的な打撃も含め、中南米社会が被る影響は計り知れない。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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