中国「小粒」ばかりの経済対策で「V字回復」に疑問符

執筆者:後藤康浩 2020年5月12日
エリア: アジア
全人代でインパクトのある対策を打ち出せるか(C)EPA=時事

 

 新型コロナウイルス感染症収束後の中国経済はV字回復するのか、世界が注視している。

 中国政府は「コロナ戦勝利」宣言とともに経済活動再開をアピールし、「景気は3月には上向き始めた」と主張する。4月17日に発表した今年1-3月期の「マイナス6.8%」成長も、最悪の状況を率直に示し、反転上昇を強調する狙いだろう。

 だが経済対策は、企業向け融資拡大や利下げなどの金融政策と、企業の社会保障費や税の減免といった救済対応中心で、2008年のリーマンショック直後の4兆元(当時約57兆円)投資のような迫力ある需要拡大策はない。

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執筆者プロフィール
後藤康浩(ごとうやすひろ) 亜細亜大学都市創造学部教授、元日本経済新聞論説委員・編集委員。 1958年福岡県生まれ。早稲田大政経学部卒、豪ボンド大MBA修了。1984年日経新聞入社。社会部、国際部、バーレーン支局、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、中国総局(北京)駐在などを経て、産業部編集委員、論説委員、アジア部長、編集委員などを歴任。2016年4月から現職。産業政策、モノづくり、アジア経済、資源エネルギー問題などを専門とし、大学で教鞭を執る傍ら、テレビ東京系列『未来世紀ジパング』などにも出演していた。現在も幅広いメディアで講演や執筆活動を行うほか、企業の社外取締役なども務めている。著書に『アジア都市の成長戦略』(2018年度「岡倉天心記念賞」受賞/慶應義塾大学出版会)、『ネクスト・アジア』(日本経済新聞出版)、『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(日本経済新聞出版)、『アジア力』(日本経済新聞出版)、『強い工場』(日経BP)、『勝つ工場』(日本経済新聞出版)などがある。
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