反露強硬派「バイデン米政権」でますます遠のく「北方領土」

執筆者:名越健郎 2020年12月14日
エリア: アジア ヨーロッパ
10月26日には、ロシア軍対空ミサイルS300V4の北方領土練習配備が報じられた(『タス通信』HPより)
 

 菅義偉政権発足後、日露間の平和条約交渉は途絶えたままで、ロシア側は高飛車な対応を一段と強めている。

 ロシアは今秋以降、北方領土に対空ミサイルS300や最新型戦車を配備し、島の要塞化を進めている。10月には、ロシア情報機関が東京五輪を主催する組織や関連企業にサイバー攻撃を仕掛けている、と英政府が発表する動きもあった。

 ロシアに親近感があったドナルド・トランプ米大統領は安倍晋三前首相の対露融和外交を容認したが、1月20日に発足するジョー・バイデン政権は、中露に対する同盟国の結束を求めており、日本の単独行動を認めないだろう。北方領土問題解決はますます遠ざかることになる。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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