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西の方角から、鈍い重い音が響いてきた。
沖本信也は思わず身をすくめ、耳を澄ました。
砲撃? それとも飛行機による爆撃か。
わずかの間を置いて、また衝撃音があった。ふたつ目のその音は、最初よりも大きな音に聞こえた。ほとんど間を空けなかった三つ目の衝撃音が重なったのかもしれない。地響きがあったようにも感じたが、確信は持てなかった。
どちらにせよ、近くではない。少なくともこの二本松市から二十キロ以上は離れた場所での爆発音だ。あるいはそれ以上の距離か。しばらく絶えていた音だけれど、情勢がまた変化したのかもしれない。
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