裂けた明日
裂けた明日 (1)

連載小説:裂けた明日 第1回

執筆者:佐々木譲 2021年5月1日
タグ: 日本
エリア: その他
写真提供:時事
内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

 

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 西の方角から、鈍い重い音が響いてきた。

 沖本信也は思わず身をすくめ、耳を澄ました。

 砲撃? それとも飛行機による爆撃か。

 わずかの間を置いて、また衝撃音があった。ふたつ目のその音は、最初よりも大きな音に聞こえた。ほとんど間を空けなかった三つ目の衝撃音が重なったのかもしれない。地響きがあったようにも感じたが、確信は持てなかった。

 どちらにせよ、近くではない。少なくともこの二本松市から二十キロ以上は離れた場所での爆発音だ。あるいはそれ以上の距離か。しばらく絶えていた音だけれど、情勢がまた変化したのかもしれない。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
佐々木譲 [ささき・じょう] 1950(昭和25)年、北海道生れ。1979年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。1990(平成2)年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞。2010年、『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。著書に『ベルリン飛行指令』『天下城』『笑う警官』『警官の血』『地層捜査』『沈黙法廷』『抵抗都市』『図書館の子』『降るがいい』『雪に撃つ』『帝国の弔砲』などがある。
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