逃亡者となった母娘は、信也の想像以上に危険な境遇に置かれていた。二人のために何ができるのか、信也は思案する。
[承前]
素うどんの夕食を三人で囲んだ。
信也が、この家で他人と一緒に食事をすることなど、妻が死んで以来なかったことだった。
乾麺はひとり分余計に茹でた。由奈がお代わりし、真智も残った半分を食べた。四人分では足りなかったと、信也は自分の誤りを意識した。
食べ終えると、真智がていねいに言った。
「ごちそうさまでした」
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