
写真提供:時事
陸上自衛隊の特殊車両で軍事境界線を突破するーー。地元の道に詳しい長谷川から逃走の指南を受けるが……。
[承前]
長谷川は運転席に乗り込むと、セルスターターでエンジンを始動させた。ブオンという大きな音を立てて、排気ガスが、D型ハウスの中に排出された。
「快調だ。このひと月ぐらい、動かしてなかったんだけど」
「燃料は?」信也は訊いた。
「十分だ。五十は入ってる。装備を取り外したんで、かなり軽くなった。リッター四キロいく。一一二まで行って余裕で帰って来られる」

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