
写真提供:時事
突然現れた民間防衛隊に、長谷川が撃たれてしまう。防護車を急発進させた信也は、全てを振り切るように軍事境界線を目指す。
[承前]
「ああ」と信也は正直に答えた。「地図には、道が二本あるようには印刷されていなかったと思う」
「長谷川さんの指先は、地図の上で一度、このような分岐のところを差していました。たしか」
「どっちに行けと?」
「口にはしていなかったけど、ふたつあるうちの左側です。北から見て」
「左側だと、双葉町の前田川の源流に出てしまうのではないかと心配している。かといって右手だと、逆にまた高瀬川の上流に出てしまうかもしれない」

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