
写真提供:時事
真智の仲間からの連絡を待ちつつ、移動の便のいい吉祥寺へやって来た三人。荒れた街の様子を目にした信也は、過ぎ去った年月に思いを馳せる。
[承前]
国内資本のファーストフードの店に入り、それぞれ軽食を注文して二階に上がった。この時刻、制服姿の学生もいない。わりあい空いていた。プラスチックの椅子はどれも汚れ、縁が欠けるほどに劣化していた。
三人とも注文の品をすべて食べ終え、残ったドリンクをなめるように口に入れているとき、真智のスマホの振動音が聞こえた。真智はリュックからスマホを取り出すと、電話です、と言って立ち上がり、階段の下り口まで歩いた。

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