「AUKUS」とは何か:「同盟以上」の米英豪、問われる日米同盟の深化のあり方

AUKUSについてオンラインで共同記者会見を行うジョンソン英首相、モリソン豪首相、バイデン米大統領(左から)(C)EPA=時事
極めて機微な原潜技術の供与は、米英豪が軍事的一体化という「同盟以上」の関係にあることを意味している。「排除」されたフランスがインド太平洋から撤退することはあり得ないが、日本が「AUKUS」と並んで役割を果たしていくには、日米同盟の深化が欠かせない。

 2021年9月15日の米国、英国、豪州の3首脳による発表は、世界に大きな衝撃をもたらした。この3カ国で「AUKUS」――豪(A)・英(UK)・米(US)の頭文字、略称をつなげたもの、「オーカス」と発音――と呼ばれる新たな安全保障パートナーシップを形成し、その具体的なプロジェクトとして、米英の協力のもと、豪州が原子力潜水艦を導入する方針が示されたのである。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
鶴岡路人(つるおかみちと) 慶應義塾大学総合政策学部准教授、戦略構想センター・副センター長 1975年東京生まれ。専門は現代欧州政治、国際安全保障など。慶應義塾大学法学部卒業後、同大学院法学研究科、米ジョージタウン大学を経て、英ロンドン大学キングス・カレッジで博士号取得(PhD in War Studies)。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)、米ジャーマン・マーシャル基金(GMF)研究員、防衛省防衛研究所主任研究官、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛・安全保障研究所(RUSI)訪問研究員などを歴任。著書に『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)、『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)など。
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