ミャンマー民主派を武装闘争路線へ向かわせた「失望」

執筆者:中西嘉宏 2021年11月18日
カテゴリ: 政治 軍事・防衛
エリア: アジア
11月10日にヤンゴンで行われたデモ(C)AFP=時事
クーデターから9カ月が過ぎたが、ミャンマーの混乱は先が見えない。国際社会の関与が手詰まりになるなか、国軍による統治は安定せず、民主化勢力の革命も成就しないまま、国内情勢は暴力的になっている。

 

急増する武力衝突

 クーデター後に混乱が広がったミャンマーだが、現在、国軍の実効支配が広がっている。都市部では、かつて起きた大規模なデモは想像することも難しい状況だ。フラッシュモブ型と呼ばれる短時間かつ少人数のデモが起こるくらいである。

 農村部での反対運動も軍の弾圧と脅しの前に小康状態。公務員の不服従運動も、多くの参加者は職務に復帰したか、退職したか、逮捕されたか、指名手配中で、一時の勢いはない。

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執筆者プロフィール
中西嘉宏(なかにしよしひろ) 中西嘉宏 京都大学 東南アジア地域研究研究所准教授 。1977年 兵庫県生まれ。東北大学法学部卒、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科修了、博士(地域研究)。日本貿易振興機構・アジア経済研究所研究員を経て、2013年から現職(2017年に東南アジア研究所から東南アジア地域研究研究所に改組)。ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際関係大学院客員研究員、ヤンゴン大学客員教授などを務めた。 著書に『軍政ビルマの権力構造―ネー・ウィン体制下の国家と軍隊1962‐1988 』(2009年、京都大学学術出版会)、『ミャンマー2015年総選挙-アウンサンスーチー新政権はいかに誕生したのか』(2016年、共著、アジア経済研究所)、『ロヒンギャ危機-「民族浄化」の真相』(2021年、中公新書)がある。
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