裂けた明日
裂けた明日 (35)

連載小説:裂けた明日 第35回

執筆者:佐々木譲 2021年12月25日
タグ: 日本
エリア: その他
写真提供:時事通信フォト
内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

三杉との約束に向かう道すがら、信也は由奈との会話から学生時代の思い出を呼び起こされる。真智の母親である史子との、ある日の忘れがたい会話を。

[承前]

 地下鉄が春日の駅で停まり、七、八人の乗客が乗ってきて、その一部は信也たちの前に立った。信也たちは会話をやめた。

 三田線を日比谷駅で降りて、日比谷線の北千住方面行きホームに移った。二分ほどで電車が入ってきた。ひと駅で、銀座駅だ。ランデブー場所は、ホームのどのあたりかの指定はなかった。中央付近にいればいいのだろう。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
佐々木譲 [ささき・じょう] 1950(昭和25)年、北海道生れ。1979年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。1990(平成2)年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞。2010年、『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。著書に『ベルリン飛行指令』『天下城』『笑う警官』『警官の血』『地層捜査』『沈黙法廷』『抵抗都市』『図書館の子』『降るがいい』『雪に撃つ』『帝国の弔砲』などがある。
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