北朝鮮「ミサイル連続発射」:米「二正面作戦」の狭間の生存戦略(上)

執筆者:平井久志 2022年2月14日
エリア: アジア 北米
1月19日に開かれた党中央委第8期第6回政治局会議での金正恩党総書記。ここで核・ミサイルに関する重大な路線変更が決定した(『労働新聞』HPより)
年明けからのわずか1カ月で7回のミサイル発射は、国内の引き締めが目的ではない。過去の機関決定を覆してまでの強硬路線は、米国のみならず中国に対する「瀬戸際作戦」だ。

 北朝鮮は2022年年頭から、ミサイルの発射実験を繰り返した。1カ月で7回の実験は、金正恩(キム・ジョンウン)政権になって初めてのことだ。しかも、「血盟関係」にあるとしている中国で北京冬季五輪が始まるにもかかわらず、直前までミサイル発射を続けた。

 北京で2月4日、冬季オリンピックが開幕したが、開幕式には米英などは「政治的ボイコット」をし、首脳の出席はロシアのウラジーミル・プーチン大統領や中央アジア、中東など中国に近い国々に限られた「片翼の祭典」となった。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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