屋良朝苗:最も困難に満ちた1971年

執筆者:野添文彬 2022年5月29日
タグ: 日本 アメリカ
エリア: アジア 北米
「沖縄復帰に関する建議書」を佐藤栄作首相に渡す屋良朝苗(C)時事
復帰準備作業が進むにつれ、革新陣営の不満は日米政府のみならず屋良にも向かう。琉球政府が動揺する中、本土では沖縄復帰関連法案を審議する「沖縄国会」が開会。それに対し沖縄では、復帰作業を総点検すべきとの声があがる。 

 

 後に屋良朝苗は、71年について「私の主席、知事在任中の激動8年の中で最も困難、混乱に満ちた年であった」と回想している。 

 前述のように、70年末から71年にかけて、「コザ暴動」や毒ガス移送など、沖縄社会は激しく揺れ動いた。その中でも特に屋良を苦しめたのが、革新陣営からの批判である。

高まる革新陣営との摩擦 

 革新陣営内の不満は、復帰準備作業が沖縄の頭越しに日米両政府によって一方的に進められているのではないかという点にあった。 

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
野添文彬(のぞえふみあき) 沖縄国際大学法学部 地域行政学科准教授。1984年生まれ。一橋大学経済学部卒業後、同大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は国際政治学、日本外交史、沖縄基地問題。主な著書に『沖縄返還後の日米安保: 米軍基地をめぐる相克』(吉川弘文館/2016年)、『沖縄米軍基地全史』(吉川弘文館/2020年)がある。
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