国際人のための日本古代史 (147)

スサノヲ篇(10)浮かび上がる「海人の王」の可能性

執筆者:関裕二 2022年6月26日
タグ: 日本
エリア: アジア
志賀海神社(福岡市東区志賀島)の境内にある鹿角堂には、大量の鹿の角が奉納されている(筆者撮影)
「神」スサノヲは実在したのか――そう信じるに足る根拠はいくつもある。『日本書紀』での悪役ぶりは、編纂の中心だった藤原氏の政敵の祖だったことを暗示させ、近年の科学的な研究の成果を見ると、縄文的な「海人の王」だった可能性もあるのだ。

 いよいよ、スサノヲの正体に迫ってみたい。スサノヲは創作された偶像なのか、あるいは実在したのだろうか。モデルがいたとしたら、どこからやってきたのか。どのような業績を残したのだろう。

藤原氏の政敵の祖?

 神が実在したなどという発想は、非常識と思われるかもしれない。しかし、スサノヲは日本海を股にかけて活躍した英雄だったのではないかと疑っている。そう考える根拠は、いくつもある。

 まず第1に、考古学が多くの常識を覆し、ヤマト建国に至る道のりをほぼ解明してしまい、神話の一部が、歴史をなぞっていた可能性が出てきたことだ。『日本書紀』はヤマト建国の歴史をお伽話にして真相を抹殺してしまったが、隠しきれなかったいくつかの史実が残っていたと思えてきた。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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