イタリア「メローニ右派連合政権」に残った分裂の火種

執筆者:八十田博人 2022年10月25日
タグ: イタリア
エリア: ヨーロッパ
内閣発足に一安心のメローニ首相だが連立相手は一筋縄ではいかない……(C)EPA=時事
総選挙で歴史的勝利を果たした右派政党「イタリアの同胞」のメローニ党首が、首相に就任した。しかし、同党と同盟、フォルツァ・イタリアを中心とする連立与党による組閣交渉では早くも同盟のサルヴィーニ、フォルツァ・イタリアのベルルスコーニ両氏との内部対立が表面化した。

 

 9月25日のイタリア議会選挙で、長くイタリア政界のアウトサイダーだった右派政党「イタリアの同胞」(FDI)が第一党になった。同党は、その前身であるネオ・ファシスト政党「イタリア社会運動」(MSI)や、MSIを冷戦後に再編したナショナリスト政党「国民同盟」(AN)も含めて、議会第一党になったことはなく、右派連合内の第一党にすらなったことがない。その意味で歴史的な勝利であるが、勝利の美酒は長く続かなかった。多党制のイタリアでは単独過半数はあり得ず、政権は連立内閣が常態であり、議会開会前から始まった組閣工作では、FDI、同盟、フォルツァ・イタリアからなる勝者の右派連合の内部対立が明らかになった。

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カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
八十田博人(やそだひろひと) 共立女子大学国際学部教授。専門はイタリア政治・外交、欧州統合史・統合論。1965年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程満期退学。イタリア政府奨学生としてフィレンツェ大学政治学部に留学。日本学術振興会特別研究員、大阪大学大学院国際公共政策研究科特任研究員を経て、2008年共立女子大学国際学部に着任、16年より現職。著書に『世界変動と脱EU/超EU: ポスト・コロナ、米中覇権競争下の国際関係』(共著)、『よくわかるEU政治』(共編著)、『戦後民主主義の青写真』(共著)など。
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