
戦略とは日本の意志を明確にする強いメッセージでもある[安保3文書を決定し会見する岸田文雄首相=2022年12月16日](C)時事
「希望の世界か、困難と不信の世界かの分岐点」と、新たな「国家安全保障戦略」の結語は記している。2022年12月16日に改定された国家安全保障戦略以下の安保3文書は、反撃能力の保有や、防衛予算対GDP(国内総生産)比2%を掲げるなど、戦後の安全保障政策を転換させるものとして注目された。そのような転換の背景には、同戦略自身が述べる厳しい現状認識がある。
筆者は本年8月に本誌に『「安保3文書改定」で踏まえておくべき「成り立ちの歴史の舞台裏」』と題した小論を寄稿した。本稿では、実際の3文書(これまでの「防衛計画の大綱」は「国家防衛戦略」に、また「中期防衛力整備計画」は「防衛力整備計画」に置き換わった)の中身を踏まえ、ポイントと見る点について歴史を俯瞰しつつ論じていく。

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