「安保3文書改定」で踏まえておくべき「成り立ちの歴史の舞台裏」

執筆者:千々和泰明 2022年8月2日
タグ: 日本 自衛隊
エリア: アジア
2018年の大綱改定では「多次元統合防衛力」構想がクローズアップされた[2018年12月11日、政府有識者会議「安全保障と防衛力に関する懇談会」で発言する安倍晋三首相(左手前から3人目)](C)時事
防衛費の対GDP(国内総生産)比2%引き上げは、いわばその根拠となる「安保3文書」改定と表裏一体の問題だ。1976年に初の防衛大綱が定められて以降、3文書はデタントや冷戦終結といった外的要因のみならず、世論や国の財政事情の影響も受けて策定・改定がなされてきた。3文書で最初に誕生したのが奇妙なことに“中位”の文書、防衛大綱だったのはなぜなのだろうか。

 今年2022年は、年末にいわゆる「安保3文書」の改定を控えている。安保3文書とは、「国家安全保障戦略(国家安保戦略)」「防衛計画の大綱(防衛大綱)」「中期防衛力整備計画(中期防)」を指す。いずれも国家安全保障会議(NSC)・閣議決定文書である。

 このうち、国家安保戦略は、外交・防衛政策を中心とした国家安全保障の基本方針であり、3文書の頂点に位置する。その下に、防衛力の在り方や保持すべき防衛力の水準を規定する防衛大綱があり、一番下には、今後5年間の防衛経費の総額や主要装備の整備数量を示した中期防が存在する。そしてこれら3文書にもとづいて、年度の防衛予算が組まれることになる。安全保障に関するこうした政策文書体系の存在は、健全な「政軍」関係の構築にとって、また対外的な宣言政策としても重要な意味を持つ。

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カテゴリ: 軍事・防衛 政治
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執筆者プロフィール
千々和泰明 千々和泰明(ちぢわ・やすあき)1978年生まれ。防衛省防衛研究所主任研究官。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士課程修了。博士(国際公共政策)。内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付主査などを経て現職。この間、コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。専門は防衛政策史、戦争終結論。著書に『戦争はいかに終結したか』(中公新書)、『戦後日本の安全保障』(同)など。日本防衛学会猪木正道賞受賞。
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