スウェーデン「軍事非同盟」から「NATO加盟」へのパラダイムシフト

執筆者:鈴木悠史 2023年6月6日
タグ: NATO トルコ
エリア: 中東 ヨーロッパ
クリステション首相は7月のNATO首脳会合までにトルコを軟化させられるか(C)EPA=時事
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて約200年にわたる軍事非同盟から舵を切り、NATOへの加盟申請を行ったスウェーデンは、今年7月のNATO首脳会議までに正式加盟国になることを目指している。しかし、軍事演習を通した実質的な統合が進む一方で、クルド人問題を理由に反対するトルコとの交渉は依然不透明だ。


 トルコでの大統領選はレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の勝利に終わった。この選挙を自国の安全保障と結び付けて眺めていたのがスウェーデンだ。

 2022年5月18日、スウェーデンはフィンランドと共にNATO(北大西洋条約機構)への加盟申請を行った。それまでスウェーデンの外交・安全保障政策の柱は約200年にわたり軍事非同盟だった。冷戦期には軍事非同盟の立場を活かし、大国政治を批判しながら積極的な平和外交を推進したことで国際政治上の独自の地位を得たため、軍事非同盟はスウェーデン国民のアイデンティティとも言えるものだった。そのため、NATO加盟の決断はスウェーデン外交の大転換だった。

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カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
鈴木悠史(すずきゆうじ) 日本国際問題研究所若手客員研究員、元在スウェーデン日本国大使館専門調査員。大阪大学 外国語学部(スウェーデン語専攻)卒業後、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程を経て、2020年2月から2023年2月まで在スウェーデン日本国大使館専門調査員 。
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