[ロンドン発(ロイター)]英国の5月の物価上昇率はアメリカや他の欧米諸国を大きく上回る水準となり、インフレ鈍化の予想を裏切った。イングランド銀行(英中央銀行)には、住宅ローン市場の動揺が懸念されつつも利上げ圧力が高まっている。
英国は食料品価格の高騰、雇用の逼迫、発電と家庭用暖房における天然ガスへの依存度の高さなどの要因により、他国以上に強いインフレ圧力に晒されている。
他国と比べたインフレ率は?
英国の5月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比8.7%と4月から変わらず、ロイターがアナリストたちの見方をまとめた8.4%への鈍化という市場予測を覆した。昨年10月の11.1%からは低下したものの、依然としてG7では最も高いインフレ率だ。
これに対し、アメリカのCPIは4.0%、ドイツは6.3%だった。
コアインフレ率は?
英国では、コアCPI(エネルギー・食品・アルコール・たばこなど変動しやすい品目を除く)が4月に6.8%、5月には7.1%と2カ月連続で伸びを加速させ、投資家たちを動揺させた。
コアCPIの上昇は、物価上昇が高水準で持続する可能性が高いことを示している。
英中銀が注視しているもう一つの物価指標であるサービスCPIも7.4%上昇しており、コアCPIとともに1992年3月以来という記録的な高水準となった。
イギリスの食品・飲料はなぜ高い?
英国は西ヨーロッパで最も強烈な食品価格の上昇に見舞われている。CPIの中で食料品や飲料を含む項目は、5月に前年同月比で18%以上、上昇した。これは19%強という1977年以来の最高水準が続く直近の数値をわずかに下回ったに過ぎない。
異常気象が世界中の農作物に影響を与え、多くの国で価格を押し上げている。国連食糧農業機関(FAO)によれば、英国は中国と日本に次ぐ世界第3位の食品・飲料の純輸入国でありその打撃は甚大だ。……
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