Weekly北朝鮮『労働新聞』 (20)

上半期の経済計画は超過完遂と報道(2023年7月2日~7月8日)

執筆者:礒﨑敦仁 2023年7月10日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
7月5日には、金徳訓首相の指導で内閣拡大総会が開かれ、今年上半期の経済計画が超過完遂したことを公式に認めた(『労働新聞』HPより)
「自立」「自力」が誇示されたが生産高は明らかでなく、目標値達成率でも大きな成果と呼べそうなのは非鉄金属生産のみ。また、金日成死去から29年を迎えて金正恩氏らが錦繍山太陽宮殿を訪問したとするが、例年と異なり写真の掲載なし。『労働新聞』注目記事を毎週解読
 
 

 7月4日付は、第1面の全ページを使って「自立の精神、自力の創造手本で全面的復興発展のための総進軍で成し遂げられた重要な成果:人民経済発展12重要高地占領のための闘争のなかで主要部門で上半期計画超過完遂」と題する朝鮮中央通信社の報道を掲載した。全体としては「自立」「自力」で経済を回していることが誇示された形である。

 第一の目標とされる穀物生産においては、全国的に灌漑工事が大々的に行われたこと、全国的な基本面積の田植えが短期間に終わったことなど「奇跡的成果」があったというが、それ以上の具体的な言及はない。夏の台風被害なども考えられることから、実際には秋の収穫を見てみないと分からないというところだろう。

 経済発展の「双柱」とされる金属工業と化学工業部門については、圧延鋼材、窒素肥料計画を各々112%、102%と超過遂行したことが紹介された。全国的な電力生産は101%、石炭生産は104%、非鉄金属生産は146%、貨物輸送は105%、生地生産は102%、水産物生産は102%の超過達成だったとされ、際立った成果を挙げられたのは非鉄金属生産くらいである。いずれも目標値に対する達成率のみが公表され、実際の生産高は明らかでない。……

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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