中国の挑戦に米国は何をなすべきか

Foresight World Watcher's 5Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2023年11月11日
エリア: アジア 中東
双方とも内政に難題を抱えつつ1年ぶりの首脳会談に臨む[昨年のG20サミットで会談するバイデン米大統領(右)と習近平中国国家主席(左)=2022年11月14日、インドネシア・バリ島](C)AFP=時事

 今週もお疲れ様でした。ウクライナ中東の地政学的な危機に向き合うアメリカは、第3の危機を回避できるのか。15日に開かれる米中首脳会談では、双方の意思疎通を図り認識のずれを解消することが最大の焦点となります。中国の挑戦に対して米国は何をなすべきか――「トランプ再選」による米国側からの混乱要因も論点に含めながら多くの論考が提出されています。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事、皆様もよろしければご一緒に。

Israel's Wartime Economy Can’t Hold Up Forever【Anchal Vohra/Foreign Policy/11月7日付

「イスラエル南部では今、農作物が太陽の下で待ちぼうけを喰わされ、刻一刻としおれ、通り過ぎる軍用車の響きにわずかに震えている。この地域の農場は、オリーブグリーンのテントと戦車で埋め尽くされた、広大な軍隊の待機場所となっている。農場労働者の姿はどこにも見えない」
「10月7日、ハマスがこの地域で暴れまわり、外国人を含む1000人以上が死亡した。農業労働者で最大のシェアを占める7000人ものタイ人は、20人近くが拉致され、30人が虐殺された後、イスラエルを脱出した」
「この国の農業生産の現場は、今や大学生のボランティアに依存している。彼らは状況を改善し、実りが腐る前に収穫しようと試みているが、その努力は及ばず、イスラエル政府はすでにいくつかの品目を輸入し始めている」

 米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌のコラムニスト、アンシャル・ヴォーラは11月7日付の「イスラエルの戦時経済は永遠には持ちこたえられない」を、このように書き起こし、さらに次のように続けている。

「今、農業はハマスとの長い戦争の矢面に立たされる業種の筆頭に挙げられている。そこには石油・ガス、観光、医療、小売、テクノロジーなども含まれる」
「イスラエル通貨のシュケルはすでに14年ぶりの安値まで急落し、中央銀行は今年の経済成長率の見通しを3%から2.3%に引き下げ、主要産業は混乱に直面している」
「専門家によれば、現在進行中の紛争はイスラエル経済に数十億ドル以上の損害を与え、回復にはこれまでよりもはるかに時間がかかるという。国内外のイスラエル人ボランティアが、追加の労働力や経済援助を提供しており、これは称賛に値する行為だが、経済の穴を埋めるには不十分だ」

 ヴォーラはさらに、テクロジー部門に多いやスタートアップ企業や観光産業などの苦境を伝え、今回の紛争が長びくかもしれないとの見通しを紹介。イスラエルは実のところ長期的な紛争には慣れてないとして、イスラエルの戦時経済が盤石でないことを指摘する。

With Two Wars Raging, China Tests America in Asia【James Crabtree/Foreign Policy/11月7日付】

 もちろん、「イスラエルは2000億ドルの外貨準備と、米国からの140億ドル(主に軍事資金)の援助を受けて参戦した」とヴォーラも書いているとおり、イスラエルには米国という後ろ盾がある。

 だが、その米国も万能ではない。……

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カテゴリ: 政治
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