プーチン訪朝で北朝鮮が手に入れた「新冷戦」構図の現実化(2024年6月16日~6月22日)

6月19日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が訪朝した。わずか21時間ほどの平壌滞在であったが、北朝鮮側は過去に例を見ないほど盛大に歓迎し、『労働新聞』もそれを大々的に報じた。
ロシアが核開発を「支持」と主張
訪朝前日の18日付第1面は関連記事で埋められた。2000年7月のプーチン訪朝や2019年6月の習近平・中国国家主席訪朝の際の報道ぶりを質量ともに凌駕するものであった。トップには社説「プーチン同志を熱烈に歓迎する」、その下にはプーチンによる寄稿文「ロシアと朝鮮民主主義人民共和国:年代を継いでいく親善と協調の伝統」が掲載された。最下段には「18日から19日」に訪朝するとの予告記事が付されたものの、プーチンは19日未明に遅れて到着した。
社説は、「朝露両国は、主権的権利と安全環境を深刻に脅かし侵害しようとする米国とその追随勢力の無分別な策動に対処し、自衛力強化に努めながら協力と意思疎通、戦闘的連帯性を強化している」「(北朝鮮は、)ロシア政府と人民の対ウクライナ特別軍事作戦に対して全面的な支持と連帯を表明し、敵対勢力が武力衝突の火種をヨーロッパ全体に拡大しようとする危険な試みを厳しく非難する」などと述べ、両国が重要政策で一致していることを誇示した。
一方、プーチンによる寄稿文では、北朝鮮が「ウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦を揺るぎなく支持し、主要な国際問題においてわれわれ(ロシア)と連帯を発表し、国際舞台で共同路線と立場を守っていることについて高く評価する」とされた。また、「米国は本質上、『ダブルスタンダード』に基づいた世界的な新植民地主義独裁以外の何物でもない何らかの『ルールに基づく秩序』を世界に強要しようとありとあらゆるあがきをしている」「米国とその追随国は自らの目的がロシアに『戦略的敗北』を与えるところにあると公然と言っている」などと非難を展開した。この寄稿文が「朝鮮と海外の『労働新聞』読者に」向けたものだとも明記され、対外メッセージとしての意味合いが濃厚である。

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