フランスで、右翼「国民連合」、左派左翼連合「新人民戦線」、大統領エマニュエル・マクロン(46)の与党連合「アンサンブル」の支持者は、それぞれどのような人たちなのだろうか。総選挙第1回投票の直前にあたる6月27日と28日、大手機関Ipsosなどが世論調査を実施し、これらの解明を試みた1。その結果には、少し意外な傾向も浮き彫りになっていた。
労働者はもはや左派左翼を支持しない
まず、性別の支持傾向を見た場合、どの政党も男女比に大きな差は見られなかった。実は、そのこと自体がちょっとした驚きだと言える。こと国民連合に関しては、マッチョなイメージからか支持が男性に偏り、女性には不人気だったからである。しかし、今回の調査では、男性で最多となる36%の支持を得たのに対し、女性の支持も32%で、他の政党を上回った。
『ルモンド』によると、右翼への投票におけるジェンダーギャップは、2012年の大統領選以降消える傾向にあった。その理由として、国民連合を率いる前党首マリーヌ・ルペン(56)が女性であること、男女平等の理念を掲げていること、差別や偏見と結びつきがちだった党のイメージの正常化(dédiabolisation)にも努めてきたことなどが挙げられるという2。
年齢別に見ると、国民連合が各世代にわたって満遍なく支持を集めているのに対し、新人民戦線は18~24歳、25~34歳という若い層でいずれも最多の支持を得ており、逆に与党連合は70歳以上でトップに立っていた。
注目すべきは、社会的環境と支持傾向との関連である。職種別だと、労働者はその57%が国民連合を支持しており、他の政党を圧倒している。かつて労働者の支持を集めた左派左翼である新人民戦線への支持は21%しかない。一方、管理職や中間職(教師、技術者等)の支持を最も多く集めるのは新人民戦線で、それぞれ34%、35%となっている。年金生活者は国民連合が31%、与党連合が29%と拮抗しているが、国民連合は年金貧困層が、与党連合は年金富裕層が、いずれも中心を占めている。
つまり、左派や左翼はもはや、労働者には支持されていないのである。労働者票はむしろ右翼に流れており、左派左翼の主な支持層は都市インテリによって形成されている。
この傾向は、学歴別の分布状況からもうかがえる。国民連合は高卒以下の49%の支持を集め、学歴が上がるほど支持が落ちるのに対し、新人民戦線は大卒以上で37%の支持を集め、学歴が下がるほど支持も落ちる。また、国民連合支持が人口2000人以下、1万人未満の自治体の住民で1位なのに対し、新人民戦線支持は人口20万人以上の街で最も強い。
他の設問も合わせると、それぞれの支持層の典型例は次のような形である。
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