[ロイター]リビアはNATO(北大西洋条約機構)の軍事介入が行われた2011年内戦で最高指導者ムアンマル・カダフィが打倒された。その後も続いた混乱では、石油資源へのアクセスはすべての政治勢力や武装集団にとって最大の目標となった。小規模な地方グループから国家規模の主要グループに至るまで、石油生産を停止することが、国家収入のより大きなシェアや政治的変化を要求する戦術として繰り返し使われてきた。
現在のリビアの政治的な行き詰まりは、2014年に東西の勢力が対立してそれぞれ独自の政府を立ち上げて以降の、平和プロセスの停滞から生じている。2020年には西部の首都トリポリを拠点とする国民合意政府(GNA)と東部のリビア国民軍(LNA)が国連による仲介で停戦に合意し、2021年3月にはトリポリに暫定政府として国民統一政府(GNU)が設立され、2021年12月に予定された選挙に向けて国家の再統一を目指す動きが見られた。
しかし、その取り組みは失敗した。東西の勢力は再び対立し、国家のエネルギー収入のアクセスを巡って争っている。最新の対立はリビア中央銀行(CBL)の支配を巡るものだ。
東部政府の勢力はLNAを率いるカリファ・ハフタルや、国会に相当する代表議会(HOR)議長のアギラ・サレハなどが中心となり、GNUが推し進めるサディク・アル=カビル中銀総裁の解任に反対している。
石油施設を封鎖しているのは誰か
カビルがCBL総裁の地位にあった13年間、東部勢力はその解任を望んできた。しかし、現在は逆にカビルの留任を要求している。最近数カ月でカビル総裁と妙味のある条件で同盟を築いたとされるLNAのハフタルは8月26日、カビル総裁や理事会の交代を「正当性と権限を欠く組織による違法行為」だと主張した。
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