ホワイトハウスを乗っ取るフロリダ、「ダラス化」するアメリカ
Foresight World Watcher's 5Tips
今週もお疲れ様でした。第1次世界大戦が始まった1914年夏、出征する兵士たちは「クリスマスまでには帰れるさ」と言って汽車に乗ったと伝わります。米国では11月の第4木曜日が感謝祭、この日から始まりクリスマスを経て年明けまで続くホリデーシーズンは、小売り業の書き入れ時であると同時に、人道や平和にスポットライトが当たる時季でもあります。
米国の指導者たちは外交分野で和平や支援の実現に取り組むとき、このホリデーシーズンを強く意識します。イスラエルとヒズボラの停戦が感謝祭の直前にスタートしたというスケジュール設定には、仲介をリードした米ジョー・バイデン政権の意向が強く働いていると見るべきでしょう。ウクライナとロシアの停戦協議に向けた取り組みが取り沙汰され、次期ドナルド・トランプ政権が新設するウクライナ侵攻終結担当特使の人事が発表されるといった流れもまた、米国側が感謝祭という日程を意識していることを感じさせます。
第2次トランプ政権の政治や外交についての論考は、急ピッチで進む高官人事がひと段落した後に議論を新たにするでしょう。今回はまず、国際政治理論におけるリアリズムの論客、スティーブン・M・ウォルト氏の“2024年振り返り”から。そして今のアメリカの姿をよく映す、少し変わった視点からの記事も紹介します。
フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事5本、皆様もよろしければご一緒に。
10 Reasons to Be Thankful in 2024【Stephen M. Walt/Foreign Policy/11月28日付】
「今日は米国では感謝祭で、この時期の習慣として、感謝している事柄をリストアップすることにしている。残念ながら、今回はその作業に少しばかり手間取ってしまった」
このように書いているのは、米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌のコラムニストで同ハーバード大教授のスティーブン・M・ウォルトだ。「2024年に感謝すべき10の理由」(11月28日付)で彼は、中東での紛争やロシアによるウクライナ侵攻、世界規模でのポピュリズム政治の拡散、気候変動の昂進とそれに対する無策、トランプの復権などに強い危機感を示しつつ、次のような「感謝すべき」事柄を挙げている。
1)米大統領選に物言いがつかなかった
――トランプ側が敗北していたら、その結果を覆そうとするトランプとその支持者によって混乱が生じていただろう。「第2次トランプ政権は米国にとってよいものではないかもしれないが、秩序ある平和的な政権委譲はよいものだ」
2)(非常に)古い体制は終わる
――「ジョー・バイデン大統領、ナンシー・ペロシ下院議員、[略。ビルとヒラリーの]クリントン夫妻、そしてその他数名が、理想より数年遅れてではあるが、政界から退くのは残念なことではない」。長く続いてきた民主党の長老支配がようやく終わる
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